「スポーツチーム経営に必要なのはガバナンスだ」という本を読みまして、ガバナンスとは何なのかを考えたくなりました。
せっかくだし何か本でも読むか。そういうと昔に買った本があるな。そんな経緯で読んだ本がこちら。
そもそも「ガバナンス」の時点でとっつきにくいし、「教科書」って書いてあるから堅苦しそうで余計ハードル上がるし、ポップな感じの黄色が目に痛くて読む気になれないし。
(積んで放置した言い訳がよくぞここまで出てくるものだと自分に感心)
ところが、読んでみると堅苦しさのかけらもなく、ちょうど自分が読みたい経営や戦略に関するテーマをふんだんに絡めながらの解説があり大変良い本でした。
ガバナンスの勉強しないといけないのにやる気出ないな~、そういう事務的っぽい話苦手なんだよね~、という人向けの本です。
読みっぱなしにするのがもったいないので備忘を兼ねて内容メモ。
読んだ収穫
・本書では経営者や投資家目線でガバナンスの立ち位置を解説してくれるので、俯瞰した目線でガバナンスの理解を促してくれました。活きたコーポレートガバナンスを理解できる、的な。わあなんかかっこいい。
・ガバナンスは嫌々やらされるものではなく、活用することで経営能力を向上させたり企業財務に好影響を与えることができるステキなものだと思うようになりました
・銀行と株主の違いの解説が充実。会社法の教科書だと単純に権利や保護の範囲など制度面での違い程度しか言及されないので、これはとても良いポイントでした。会社法の理解を深めるのにも役立ちました。
そもそもガバナンスって?
一言で言うと「企業の舵取りをどうするか関係者で考えること」である。
"Governance"と"Government"の違いを意識すると理解が早い。前者は関係者が参加して協議し、自立的な合意を図ること(皆で考えよう)。後者は王権や政府が決めたことを一方的に従わせること(俺の言うことを聞け)。なので、一般的なコーポレートガバナンスのイメージである「会社は株主の言うことに従え」は理解として正しくない。
企業経営は経営者に任されているのが通常。なので、その重要な役割を担う経営者が適切に意思決定しているかを見定めたり、不正や怠慢など職務を放棄することがないように規律づける必要がある。そのための自治的な仕組みがコーポレート・ガバナンス。
ガバナンスが注目されている背景
企業財務の銀行への依存が弱くなり、株主資本の重要性が高まったから。
高度経済成長期であれば会社は事業に集中すればよく、モノ言う株主は邪魔でしかない存在。なので、国による管理が行き届いた銀行が資金を供出し面倒を見ていた。また、資本市場を規制によってがんじがらめにすることで株主の力を奪っておき、企業を守る(安定させる)狙いがあった。
しかし、経済成長が終わるとさあ大変。バブルの崩壊で銀行はトドメを刺され多くは統廃合の憂き目に合う。システムを見直し投資家の投資を促すために投資家保護のためのルールを打ち出すことになる。1990年後半から頻繁に会社法(商法)が改正されているのはこのため。
そうしてルールを制定しても「日本の会社ってガバナンス利いてないし投資対象として魅力的じゃないよね」と海外投資家に思われてしまう事件が発生。世にいうブルドックソース事件。
企業価値を高められない経営陣をクビにして、新しい経営陣を据えようとしたスティール・パートナーズは司法の場で「濫用的買収者」とまで言われてしまう。日本企業のガバナンスどうなってんの?日本市場に投資するのヤバくない?という流れができてしまう。
アベノミクスでコーポレートガバナンスへの注力が謳われているのは、そんな苦境を解消するため。「きちんとガバナンス整備させるから海外投資家さん戻ってきて!」ということ。
契約であれこれ言える銀行と違って、株主は基本的に会社法をベースとした権利しか行使できない。投資促進の観点からもカバナンスの充実はマスト。
ガバナンスを強化するメリットって何よ
企業価値向上のため。
資本コストが上がれば企業価値は下がる。ガバナンスが利いていない会社の株主は不安になり、要求収益率を上げる。要求収益率が上がれば資本コストが上がる。
では、株主を不安にさせないために何を開示すればよいのか?
投資家の興味は結局①「過去」の経営はどうだったのか②「現在」きちんと会社を運営できる仕組みは整っているのか③「将来」何をしようとして何に金を使って利益を上げようとしているか、の3点に収束する。それぞれの具体的を出すと以下となる。
①過去の経営=財務情報
②現在の仕組=内部統制システム
③将来何をしようとしているか=戦略・ビジョン
さいごに
ガバナンスへの理解不足で要約ばっかりになってしまいました。
ガバナンスの本なのに経営や戦略に関する良い解説もたくさんあったので、次回のテーマは「ガバナンスから考える経営」でいく予定です。いつ書くかは知らんけど。