Twitterの検索窓で「食べログ」と入れると「炎上」「ヤクザ」「信用」などときな臭いサジェストがされる今日この頃。
このお店トガってるなー、嫌いじゃない pic.twitter.com/HPVgvy9bjn
— リュウジ@料理のおにいさんバズレシピ (@ore825) October 1, 2019
食べログユーザーの入店お断りの店舗の話が発端のようです。
「評価してくれなくて結構、ていうか食べログで評価するなら来るな」と。
関連して検索すると
「食べログに課金している店のネガティブな情報を書くと削除される」
「低評価を消したければ課金しろと営業された」
とのツイートも散見されました。自分が被害にあったわけではありませんが、数やツイート内容からも信用性ありだと判断しましたのであった前提で書きます。
レビューサイトが被レビュー者から対価を受けてレビューを操作する行為。普通に考えて何かしら問題がありそうですね。ビジネス的な問題、法的な問題、倫理的な問題の3つに分けて考えました。自分が法務で相談を受けたらどうするかのーとの見解も含め。元法務の人なので法的な面は薄めに...
ビジネス的な問題
食べログのビジネスモデルはシンプルです。一般ユーザーからの広告料収益と飲食店舗からの広告掲載料の2つが収益の柱です。
簡単にKPI分解すると
売上 = 一般ユーザー数×一般ユーザー単価 + 店舗数×店舗単価
となります。広告料と掲載料は単価が安いのでユーザー数が大事なビジネスですね。
レビューサイトのユーザー数、つまり人を集める力の源泉はお店のレビュー・口コミの量と質以外にありません。レビュー・口コミが見たい人が集まり、レビュー・口コミが集まり、それに魅力を感じてまた人が集まる、の好循環に持っていけるかどうかがポイント。
それなのに、レビューサイトに金を払えば口コミを操作できてしまうとどうなるでしょうか。ユーザーが知りたい情報は「ユーザーの生の声」ですよね。操作されたレビューサイトにユーザーが知りたい情報はありません。実際に私は食べログ使いません。
(GoogleMap派です。最近同じスタンスの人増えましたよね)
自分が法務なら法的にもビジネス的にも止める案件。
とはいえ、レビュー操作をしてる情報はある程度深いところまで見ないと目につかないですよね。世の中の多くの人は気付けない話と思われます。ということで「大勢にバレなきゃ大丈夫でしょ」と進めるのも一理あるのかもですね。
私ならしませんけどね。
法的な問題
レビューサイトがこっそり課金した店舗の悪評価だけ消している場合、ユーザーの手元には真実とは異なる、しかも真実の姿より優れた評価が届くことになります。
これ、ズッポシ不当表示(類型として優良誤認、景表法5条1項)に当たると思うのですがいかがっでしょうか。口コミを買う、いわゆるステマ行為が不当表示にあたることは消費者庁も見解を出しています。
レビューサイト、今回でいう食べログ自体は自己の供給する物品やサービスに対して不当表示を行っているわけではありません。しかし、飲食店個別で考えると消費者庁が問題としている下記の状態にまるごとあてはまります。
商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。
食べログ自体は良いとしても、店舗に不当表示を行うよう誘導する行為は何の問題もないのでしょうか。クライアントである飲食店だけリスクに晒されている現状ですが。
「良いレビューを掲載することと悪いレビューを削除することは別だ」主張するのでしょうか。相当筋悪かと思います。
法的に問題はあるが個別の飲食店が消費者庁から是正措置を受けるリスクは低いから問題ない、という判断なのかな。いやいや...
正直なところ、法的な面の問題はリーガルの人が見れば9割方「これ、ダメなんじゃない?」と考える案件だと思ってまして、当たり前のように進んでいる現状が不思議でなりません。
こういうときは大概自分の感覚が間違っていることが多いので、もし間違っているようでしたらさらっとご指摘いただけると嬉しいです。