「秘密保持契約は、『大事な情報をきちんと扱ってね』っていう契約だよ」と説明すれば上手く分かってもらえた、という話をします。
レビューではなく説明
最初の一杯はビールだよね、くらいの感覚で取り交わされることも多いNDA。打合せするんだから取り合えずやっときますか的なテンションで作ることもあり、どの会社も法務にレビュー依頼が来るランキングで上位にランクインしていることかと思います。
では「秘密保持契約書とは何かを説明して」と言われたら、ぱっと出てきますか?
意外に出てこないか、具体的な条項の話をしてしまって空回りあたりになるのかなと。
転職直前といえば溜まった有給休暇消化によるバケーションです。正直全く消化しきれてないのですが、数少ない一日を有給にして日帰りで友人(法学部出身、非法務)とぶらぶらしました。
その際に雑談レベルでNDAの話になり運用の方針などについて相談されたのですが、どうも話が理解されていないと違和感がありました。定義や秘密保持義務が~、みたいな話が上滑りしていると感じました。
こういった自分の話が空回りしているときの悪いパターンはだいたい
「全体感が話せていない」
「テーマ同士の繋がりが示せていない」
いずれかです。(要するに、具体に入りすぎて個別論のことばっかり話している)
そこで、思い切って一番抽象的なレベルで表現してみました。
私「そもそもね、秘密保持契約は、『大事な情報をきちんと扱ってね』っていう契約でね」
友「なるほど」
私「大事な情報とは何か(定義)がここに、大事な情報はどう扱ってほしいか(情報の取り扱い)がここに書いてあるのよ」
友「おーそういうこと。じゃあ、相手からもらう情報が定義にあたるか、あたるとしたらどう扱うかを考えなきゃいけないということか」
私「そうそうー」
(友人からの積極的なリアクションがあったので、ここで「理解した」とデータ算入します)
説明の順番と抽象度の選択
「抽象から具体へ」は説明の際の鉄則ではありますが、改めて身をもって感じた次第です(ロジカルであることとも繋がる話です)。
また「秘密保持契約書は秘密を保持してもらうための契約書だよ」では抽象に振れ過ぎて分かりません(抽象化というか単なる言い換えな気もします)。
相手の理解度に応じてどの抽象レベルを使うかのチョイスあたりは、本業で契約書を見ている人の腕の見せ所なのでしょう。
たくさんレビューしているだけでは説明できるようにはならないので、日常から抽象と具体の行ったり来たりや言語化することが大事であると実感できたイベントでした。
事業部が自分たちを理解てくれないと怒る前に、伝え方を工夫してみるのも一手かもしれませんね。